INTERVIEW:福岡市のスタートアップの雄 迫田孝太

INTERVIEW:福岡市のスタートアップの雄 迫田孝太

プロフィール

迫田考太: 1979年生まれ。元ミュージシャン。貧乏下積みミュージシャン時代に独学で始めたプログラミングが楽しくなり、2004年から7年間フリーランスプログラマ・大学研究員として活動し、2011年7月1日にグルー株式会社を設立。

グルー株式会社: 「動画を通じてより良い世界を!」をミッションとするベンチャー企業です。 動画を通じて人と人をより深くグルー(Glue:糊付け)したり、商品やサービスと人をグルーしたりすることによって、世界中の人々の生活をより豊かにしたいと考えています。


– 福岡市ステップアップ助成事業で最優秀賞になったんですって?
そうなんです。「創業者が持つビジネスプランを審査し、成長性の高い事業計画を持つ創業者に対して、成長のための課題改善に要する資金として創業者育成補助金を交付する」というのが福岡市のステップアップ助成事業として毎年開催されているのですが、そこでありがたいことに最優秀賞を受賞することが出来ました。

– おめでとうございます。助成金は、100万円でしたっけ?どういった内容で賞を取ったんですか?
ありがとうございます。 今回は2012年9月初旬にリリースした弊社の新製品「グルサポ」のビジネスモデルをプレゼンテーションさせて頂き、受賞となりました。

– グルサポは、確か顧客サポートに使うサービスでしたよね?詳しく教えてもらっていいですか?
はい。 グルサポは一言で言うと「どんなホームページにも簡単に埋め込めるリアルタイムビデオチャットシステム」です。これを使うとインターネット上でも「対面顧客対応」が可能になる、というわけです。

例えばECサイトでユーザーが買い物している時に商品の裏側が見たいとか、この部分を拡大して欲しいとか、そういった事があると思うのですが、メールや電話で問合せするにはちょっと面倒だと思いませんか?商品画像が小さかったりした場合はよくわからないので他のECサイト開いちゃったりとか。

– ありますね。ちょっと聞いてみたいっていうシーンは多いと思います。僕の体験だと、Webサービスなんかは、特に多いですね。説明が乏しくてわからないこともあれば、逆に説明が多くても離脱しちゃう。「対面顧客対応」が可能になるのはなぜです?
よくありますよね。僕もよくそういう思いをします。 ウェブサイト上で「対面顧客対応」が可能になるのは、グルサポを導入する事で、どのようなウェブサイトにもリアルタイムビデオチャットシステムを埋め込む事が可能になります。これにより、ユーザーはウェブサイトからいつでもどこでもそのウェブサイトの中の人へチャットリクエストを送る事が可能になり、実際にビデオチャットでより細かい説明や案内をその場で受ける事が出来る。というわけです。

– 実際に企業やECサイトに導入されてたりします?
リリースしたばかりでご紹介出来る実績はないのですが、CS-Cartというショッピングカートシステムの公式アドオンとして提供を開始して頂きました。CS-Cartをお使いのユーザーさんには簡単にグルサポを導入出来る仕組みになっています。(CS-Cartマーケットにて入手可能)

– おー、CS-Cart!
他のオープンソースのショッピングカートシステムやWordpress、BaserCMS等のCMSにもプラグイン・アドオン形式で簡単に導入出来るようにしていきたいですね。

– ところで、迫田さんがグルサポを作るきっかけって何だったんですか?
実は、ちょうど1年前にGlueCastというブラウザだけで使えるビデオチャットサービスをリリースしたのですが、全くお金を生み出す事が出来ず、どうにかマネタイズしたいと苦しんでいまして(苦笑) その苦しんでいた頃に、宮崎にある株式会社アラタナの濱渦社長からビデオチャットサービスについてアイデアを頂きまして、それじゃあ作ってみようかとやってみて完成したのが「グルサポ」なんです。

– ほう。迫田さんところって、Gemediarっていう動画配信プラットフォームもやってますよね。なにか動画にこだわりがあったりするのですか?
そうですね〜。僕が子供の頃、両親が写真や動画を撮ってくれてたと思うんですけど、当時は当然アナログカメラばかりでした。そして今、それを見る手段がほとんど残されていません。

高校生の時にバンドをやっていたのですが、その時の演奏もビデオテープには残っているのですが、肝心のビデオデッキがありません。

今、僕も子供が出来て、子供の動画を撮っていて思ったのが、時を経てもそれを見ることが出来る状態で残してあげたいなと思ってます。 現在はほとんどデジタルになってますけど、どうやってずっと残して行くかとか、未来のデバイスでも当時の動画を再生出来るようにしたいとか、そういう思いはありますね。

– そういうことがモチベーションになっているんですね。
そうですね。会社では受託開発もやってたりするのですが、最近「グルーの得意分野は動画処理系」と思ってもらえるようになってきて、更にモチベーションもあがっています(笑)

– ブランディングできているんですね。ところで、グルサポは、どういう仕組みで出来ているんですか?
基本的にはASP型でサービス提供しています。

技術的には動画配信サーバとユーザー・オペレータを繋ぎあわせてます。それを誰でも使えるように簡単にシンプルにまとめている。といった感じでしょうか。

– なるほど、リアルタイムな通信はFlashを使ってる?
はい、Flashを使っています。将来的にはHTML5に置き換えるかもしれませんが、現状ではまだなんとも言えないところですね。技術的な動向だけは追ってます。

– 確かに、今のところFlashのほうがスタート切りやすいですよね。
そうですね。

– 提供はASP型のみの予定ですか?インストール型などの提供予定は?
はい、インストール型の提供予定もあります。 基本的には顧客サポートといった売り出し方をしてますが、社内向けセミナーやオンライン面接としても応用する事が可能で、様々なカスタマイズと共に個別のご提供も検討しています。

– なるほど。ちょっと、話題を変えるんですが、迫田さんは、福岡市のテクノロジー系のスタートアップでは目立っている方だと思うのですが、そういう感覚ってありますか?
あはは、正直全然ないですね。 最近はなかなか都合がつかず、あまりコミュニティ活動に参加したり出来ていませんし、逆にみんなから忘れられていないか不安に思ってました。 例えばどんな風に目立ってるんでしょう(笑?

– 目立ってる原因は2つあると仮説を立ててます。1つは、そこそこイケメンだから。もう1つは、儲かっているんじゃないか?という目立ち方。
なるほど。そこそこ(笑)。イケメンかどうかはわからないですが、儲かってるかどうかでいえば、儲かっていないですね(苦笑)。 目標にしてる数字や売上のバランスにはまだまだ届いていないですね。酒癖が悪いとかじゃなくてよかったです。

– そうなんですね。どうすると、目標にしてる数字や売上のバランスに届きそうですか?
答えが出ているわけではないのですが、例えば僕が直接やる仕事の一つに「開発」というのがあります。実際にコードを書いています。これを今後どうするかがポイントになりそうな気がしてます。

例えばめちゃめちゃ開発が出来る人がうちの会社に入ってくれた場合、よりよいものが出来るし、製品の品質もリリースのスピードもこれまで以上にあがります。その時に僕は何をするのかと。 「コードがかける代表」ってカッコイイと思うのですが、「コードもかける代表」の方がよいのではないか、と思い始めてますね。

回りくどくなってしまいましたが、仕事そのものの単位を小さくしつつ大きなまとまりで見て、それに関わる人を増やしていく。みたいな事というか。うーん、なんだかうまくいえませんね。難しい。

-暗中模索になりますよね、確かに。
まさにその状態ですね。

– さて、最後の質問ですが、今後「グルサポ」をどのように展開していきたいですか?
そうですね、大きな目標としては、顧客サポートと言えば「グルサポ」と言われるようにしたいです。グルサポを導入している企業様は「お、ここはCS(顧客サポート)に力入れてるんだ!安心出来る!」という風に思ってもらえると最高ですね。

そうなる為の第一歩としては、まずはECサイトやコーポレートサイト等に導入して頂けるようどんどん提案していきます。販売代理店様も募集しているので、我々の考えやビジネスに共感して頂いた人とお互いにハッピーになりたいです。