福岡が創業特区としてスタートカフェなどさまざまな取り組みをしているなか、日本人だけでなく外国人の創業を後押しする制度として設けられたのが「スタートアップビザ」です。
国家戦略特区の福岡市で特例的に認められたこの制度は、これまで外国人が日本で会社を創業するのにハードルとなっていた在留資格の緩和政策で、創業活動計画書などを提出し福岡市の確認を受けることで、これまで入国管理局への申請時に事務所の開設や常勤職員の雇用、資本金500万円などの要件を6ヶ月間の猶予が設けられたものです。もちろん、その6ヶ月間の在留中にスタートアップカフェなどでの創業支援プログラムを受けることができます。
そのスタートアップビザを使って創業したスタートアップが、IKKAIで、企業と学生をつなぐクラウドソーシングサービス「ikkai」を開発しています。
ikkaiは、依頼したい仕事を掲載し、学生は依頼されている仕事内容をもとに軽作業を行い報酬の受け渡しを行うことができます。依頼内容は、部屋の掃除やペットの散歩など、業務や雑用の依頼が中心で、簡単な作業内容を中心に依頼を行えます。依頼者は、企業情報やお願いしたい作業の時間、日時、詳細な内容、支払いたい金額を入力。作業を行う学生も経歴や得意な内容、作業レビューの欄が設けられており、依頼者は複数からの学生のオファーがあった場合、誰に依頼したいかを選択することができます。
創業者のYasmine Djoudi氏とThomas Pouplin氏は、交換留学生として福岡に留学してきた際、学生が一般的なアルバイトに従事していて、企業などスキル向上や社会人経験が詰める働き口を見つけきれていないという課題を目の当たりに。企業にとっても、学生との接点をもとにアルバイトなどを通じた雇用や社員登用を意識した育成ができる場がほしいと考えていることに気づいた二人は、そのアイデアをもとに起業しようと決意しました。
同サービスが特徴的なのは、企業であれば自社の住所付近の市町村、福岡市であれば福岡市在住の学生にのみ依頼できるなど、エリア限定でタスクをお願いする点です。また、一回の依頼内容は1000円以上の設定が必要など、低価格化を防ぐ仕組みもいれています。
学生にとっては一般的なアルバイトに比べて高価格な働き口を見つけることができ、企業としては優秀な学生と接点をもつきっかけになります。すでに、ikkaiをきっかけに、依頼者の企業に正式にアルバイトやインターンなどで雇用された学生もいるとのこと。ビジネスモデルは、中華の手数料として依頼金額の20%をikkaiが受け取るモデルです。
企業にとっても、優秀な学生にまずは簡単な仕事を依頼し、そこからアルバイトや社員などへの登用など、いい出会いをつくることができます。また、エリア限定になっていることで、知らない土地の誰かではなく、近くに住む顔が見えやすい学生たちへの依頼ということで、コミュニケーションの心理的なハードルを下げる取り組みも、これまでのクラウドソーシングサービスにない特徴です。クラウドソーシングならではの良さと、ローカルのコミュニティづくりの両方をミックスしたサービス。近所の人たちに手伝いを依頼する、クレイグスリストとも似た仕組みといえます。
ある意味で、ローカルビジネスを推進するサービスとも言えるサービス。近日には正式版をリリースとのこと。スタートアップビザをきっかけに創業したこのスタートアップが今後どう成長していくか期待したいですね。