2019年10月29日・30日に天神・スカラエスパシオで行われた「明星和楽2019」。
1日目には「勝手にクリエイティブ大賞2019」が行われました。
明星和楽のテーマ、「異種交創」。
このイベントでは、「異種交創」によって生まれた新しいモノ・コトを発掘することをテーマに、一般の方々やゲスト審査員が“勝手に”エントリー作品をリストアップし、その中から審査を通じて賞が与えられます。
今回の「勝手にクリエイティブ大賞2019インタビュー」では、大賞・優秀賞を受賞した方々にインタビューを行なっていきます。
今回は、優秀賞を受賞した「九州レインボープライド 」代表・三浦 暢久さんにお話を伺いました。
Q. 勝手にクリエイティブ大賞の感想をお聞かせください。
大規模なイベントで、いろんな企画や作品があって面白かったです。他に35作品もありながら、私たちの活動がノミネート6作品に選ばれたのは恐縮です(笑)。
特に自分たちで拡散したわけでもなかったので。入賞作品にノミネートしていただき、とてもありがたく思っています。
Q. 九州レインボープライドの活動内容について教えてください。
九州レインボープライドは、LGBTを中心としたマイノリティの人々のためのコミュニティおよびイベントです。イベントでは、パレードやステージライブなどを行います。レインボーパレードの活動自体は1970年代のニューヨークが始まりです。
九州でレインボープライドを行うにあたり、LGBTだけではなく、他のマイノリティを持つ方々も対象にしようと考えました。LGBTをはじめとするマイノリティの方々は時間や場所、性別、格差にかかわらず、子どもから大人、お年寄り、外国人まで幅広く存在します。そのため、マイノリティを全ての人に理解していただく必要があります。
そこで、九州レインボープライドでは「LGBTをはじめとする、すべての人たち」を対象としています。
最初は約5000人規模のイベントでしたが、今は約12000人が参加する大規模なイベントに。メンバーや参加者が、それぞれの自分らしさを尊重する環境作りを行っています。
また、LGBTやその他のマイノリティに寛容な社会を作っていくときには、行政や企業との協力が必要です。行政や企業には協賛をいただき、CSR(社会的責任)に関わる取り組みを行ってもらいます。
昨年は、福岡県内の名義後援をいただいた29の市政のうち18の市政からLGBTの方々に向けて、参加者の方々からは自分の地元の行政に向けてメッセージをいただきました。
この取り組みで、マイノリティの方々の存在が少しでも行政に伝わるようになればいいなと思っています。LGBTをはじめとするマイノリティに対する偏見がなくなって、いろんな人がいていいよね、という寛容な社会になってくれたらいいなと思いながら活動しています。
Q. LGBTの方々に限らず、いろんなマイノリティの方々を受け入れているんですね。コミュニティ運営などで気をつけていることはありますか。
アットホームな空気感を出すように心がけていますね。LGBTのイベントだから誰々は参加できません、という排除は一切ありません。
多種多様な方々が集まるぶん、コミュニティ運営で苦戦することもあります。現実的に難しい企画を提案するメンバーがいたとき、単純に無理とは言わない姿勢を大事にしています。どうしたらアイデアを実現できるのかを一生懸命考えた上で、無理なときには無理としっかり伝えます。
また、LGBTというテーマだけだと、行政や企業も手をつけにくい部分が正直あって。子どもや高齢者、障がい者の方々も対象にすることで、行政や企業も支援しやすい環境になっています。
Q. 今年の九州レインボープライドの活動の状況について教えてください。
今年の活動は新型コロナウイルス(以下、コロナ)の影響を直に受けています。企業もコロナで疲弊している様子で、協賛が集めにくくなっていて。その点では、かなり厳しい状況なのは間違いありません。
九州レインボープライドは毎年11月頃に開催していますが、もし開催時期にコロナが収まっていたとしても、協賛が集まらないと開催自体が難しい。企業の体力が戻るまで、厳しい状態が続くとは覚悟しています。
ただ、その間に何も活動しないのは個人・コミュニティとして避けたいところです。何も動かなければ、コミュニティ自体の継続が難しくなります。
Q. オンラインでの開催は考えていますか。
今はまだ模索中ですね。オンラインでどこまでできるのか、まだ未知数な部分があります。交流会も定期的にやっていましたが、それもできていない状況です。
メンバーや参加者の人数がかなり多いのに加え、LGBTをはじめとするマイノリティの方々がたくさんいます。交流会ではプライベートでセンシティブな内容を話すため、会話の内容を外に出さないことやセクシュアルな話をしないことをルールにしています。
ただ、オンラインになると状況が変わるため、慎重に環境作りに取り掛かっています。
Q. 九州レインボープライドの今後について教えてください。
新型コロナウイルスで甚大な被害が出ましたが、今が大きな転換期だと捉えています。
九州レインボープライドとして、「繋がる」というコンセプトは外せません。オフラインでもオンラインでも、メンバーや参加者の方々が一人ひとり心置きなく過ごせる環境を作る。その価値をこれからの社会にどうしたら提供できるのか、今考えているところですね。
そこで重要になってくるのが、オンラインでのコミュニティ作りだと思っています。今まで、オンラインでの活動がすごく弱かった。
もちろんパレードやイベントを開催すれば、TwitterやInstagramなどのSNSで拡散されますよ。ただ、今大切なのはオンラインのコミュニティをどうやって作っていくか。オンラインだからこそ、会場に来れない方々やリアルの世界では生きづらさを感じている方々の居場所作りができる。
「繋がる」というコンセプトはぶらさず、状況に合わせて九州レインボープライドを変化・進化させていきます。
三浦暢久 (みうら のぶひさ)
30歳で自身がゲイであることを隠さず生きることを決め、カミングアウト。翌年アロマヒーリングサロンOPEN。
約2300名のカウンセリングをする中で、LGBTもそうでない人も含め、沢山の自由に生きていない人たちと向き合う。
その経験からセクシュアリティに関係なく、誰もが偏見のない世の中で幸せに暮らせる社会を目指し、2015年より活動をスタート。
これまでたくさんのプロジェクトを手がけてきたが2018年に各プロジェクトをまとめ、NPO法人カラフルチェンジラボを設立。現在は福岡市や多くの企業より賛同を受け、企業・地域/学校にも講演活動や研修/アドバイザーとして幅広く活動中。