「こども × こども × こども」 中井けんとくんが考えるクリエイティブ〜勝手にクリエイティブ大賞2018インタビュー〜

「こども × こども × こども」 中井けんとくんが考えるクリエイティブ〜勝手にクリエイティブ大賞2018インタビュー〜
Pick Up

今年3月26日、福岡・六本松蔦屋書店にて「勝手にクリエイティブ大賞2018」が行われました。

当時の様子はこちらからご覧いただけます。
大賞は〇〇×〇〇!? 〜勝手にクリエイティブ大賞2018を開催しました〜

明星和楽のテーマ、「異種交創」。

このイベントでは、「異種交創」によって生まれた新しいモノ・コトを発掘することをテーマに、一般の方々やゲスト審査員が“勝手に”エントリー作品をリストアップし、その中から審査を通じて賞が与えられます。

今回の「勝手にクリエイティブ大賞2018インタビュー企画」では、大賞・優秀賞を受賞した方々にインタビューを行なっていきます。

今回は、大賞を受賞した中井けんとさんにお話を伺いました。

クリエイティブ大賞を受賞しての感想を聞かせてください。

シンプルに嬉しかったですね。僕は足が不自由で運動会などで1位をとったことがありませんでした。なので、大賞を受賞したときは1位になれた気分でとても幸せでした。

また、クリエイティブ大賞が開催された時期がちょうどクラウドファンディングを始める直前で、「こどもばんぱくは本当に意味があるのかな」と自信を持てずにいました。

でも、大賞を受賞したことで、他の人からこどもばんぱくの存在意義を認められた気がして。

やっぱり自分のイベントは意味があるんだ」と自信を取り戻すことができてよかったです。

クリエイティブ大賞に向けて何か工夫した点はありますか?

22作品の中から入賞作品である上位4作品に選ばれた時は嬉しくて、「絶対に大賞をとるぞ!」という思いで努力をしました。今回は自分でも経験したことがない2分間のプレゼンで、とても時間が短い。

そこで、こどもばんぱくに対する自分の思い、やりたい目的、実績の3つに焦点を絞って話すことにしました。

その結果かどうかはわかりませんが、大賞を受賞することができて本当に良かったです。でも、まさか大賞を受賞するとまでは思っていませんでした。

興味があった他の作品はありますか?

どれも面白そうな作品ばかりでした。特に、谷口崇さんのイラストやトコトコつみきは面白い、遊んでみたいと思いました。

また、審査員をされていたしくみデザインの代表である中村さんとのお話も面白かったです。僕は去年からプロジェクションマッピングの勉強をしているんですが、やってみてもうまくいかないことが多い。そこで、プロジェクションマッピングのコツを中村さんに聞きました。そのアドバイスを参考に昨日もやってみましたが、あんまり上手くいきませんでした。難しいです(笑)。

こどもばんぱくなどのイベントや活動を始めたきっかけは何ですか?

僕は小学5年生の時にいじめがきっかけで不登校になりました。

当時はすごく落ち込みましたが、そのままではしょうがないと思い、自分がいじめにあって苦しい気持ちを絵本にしました。そして、その絵本をイベントで出展させてもらうことになったんです。

自分の中では「なんだ、このポエムみたいな気持ち悪い本は」と批判されるかなと不安でしたが、「面白い!」とたくさんの方が言ってくれてとても嬉しかったです。僕が好きな作家さんからも褒めてもらいました。

もともと悲しい気持ちで書いたすごくマイナスな絵本でしたが、いじめられて悲しかったという自分の気持ちを人から認められた気がして、自分の体験はプラスに変わりました。

その瞬間、僕は思ったんです。僕をいじめていた人たちは、もしかしたら僕と同じようにストレスを抱えていて、そのストレスの発散場所がたまたま僕だったのかもしれないなと。もしそうだとしたら、その人たちがいじめというマイナスな方向ではなく、絵本を書いたりして、プラスな方向に向かったらいじめがなくなるんじゃないかなと考えました。

そんな時、友達からボードゲームのワークショップをやりたい、という相談を受けました。しかし、ワークショップを開催するのにはお金がかかるし、宣伝するためのSNSも校則違反だし、やろうと思っても親から止められる。

子供達にとってはやりたいことがやれない苦しい状況の中で、どうやったらやりたいことができるかなと自分なりに考えました。

そして、「出展」という形ならできるんじゃないかな?と思って、こどもばんぱくをやり始めました。イベントをやるときは、マイナスなものをプラスに変えることを強く意識するようにしています。

やりがいを感じるタイミングはどんな時ですか?

こどもばんぱくを開催したとき、来場者の方から直接「子供だけでイベントなんてできないと思っていたけど、価値観が変わった」とか「面白かった」という言葉をもらいました。

他の人の価値観を変えたときが一番やりがいを感じますね。

また、こどもばんぱくで出展してくれた子が他のイベントに出たり、自分でイベントを企画するなど、他のこどもたちのきっかけになることも嬉しいです。例えば、「こども歴史カフェ」というのを開いている、幕末の歴史が大好きな男の子がいます。歴史を対等に語り合える友達が学校にいないというストレスを抱えていた彼は、こどもばんぱくで「幕末を語るワークショップ」を開催しました。

それが自信になったようで、他のイベントに出展したり、自分でイベントを開催しています。こどもたちが変わるきっかけ作りをしていくことが僕のモチベーションになっています。

けんとくんにとっての「クリエイティブ」とはなんですか?

僕にとってのクリエイティブは、イベントなどのツールを使って自分がやりたいことを合致させることです。

例えば、こどもばんぱくは「子供なんて何もできない」という偏見を変えたいという思いとイベントを合致させています。その合致力がクリエイティブだと思います。何か別々のものをかけ合わせるというよりは、思いと形を組み合わせるというイメージです。

けんとくんの「こども」の定義は何ですか?

僕にとっての「こども」は常識に縛られずに行動する人、それに対して大人は行動する前にリスクばかり考えてしまう人だと定義しています。

一応こどもばんぱくには年齢制限を設けていますが、「こども」であることに年齢は関係ないとは考えています。今回のこどもばんぱくは「大人をこどもに変える」ということもコンセプトに入れています。

大人もこどもと対等な目線に立ってしっかりと遊ぶ。

よく誤解されるんですがこどもばんぱくは子供のためだけのイベントではなくて、こどもと大人の両方のためのイベントです。

けんとくんのこれからについて教えてください

こどもばんぱくは将来的に全国展開したいと考えています。

なぜなら、いろんな理由で自己表現を抑えられ、ストレスを抱えている子供たちが全国にいるからです。来年には福岡と宮崎で同時開催することが決定しています。

また、17歳になったら僕はこどもばんぱくの代表をやめて、他の子供たちが公民館などで自由に開催できるような仕組みづくりをしたいなと思っています。また、12月には音楽フェスをやりたいなと思っています。僕は無理やり強制して踊らされるのが好きではありません。ただぼーっとして楽しむ人もいれば、めっちゃ踊る人もいて、いろんな楽しみ方がある。そういった音楽フェスをやりたいです。

これからもいろんなマイナスをプラスに変えていけたらいいなと思っています。

中井けんとくんが主催する「こどもばんぱく2019」は8/22の10時から、福岡の電気ビル未来ホールで開催されます。

前回のこどもばんぱくの様子はこちらの動画からご覧いただけます。

ぜひ会場にお越しください!