ドーガン・ベータ渡辺麗斗氏に聞く【後編】「オンライン起業家相談プログラム1on3」設立の背景。

ドーガン・ベータ渡辺麗斗氏に聞く【後編】「オンライン起業家相談プログラム1on3」設立の背景。
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長年に渡り九州・福岡のスタートアップの成長を支えるベンチャーキャピタル(以下:VC)ドーガン・ベータがオンライン起業家相談プログラム「1on3」を開始した。1on3では、オンラインで初回からドーガン・ベータの全キャピタリストと面談が可能になる。コロナ禍でイベントなどリアルな接点が激減したことにより、新たな投資先との出会いが限られる起業家に寄り添うサービスだ。今回、ドーガン・ベータ取締役パートナーの渡辺麗斗氏に前編で福岡でベンチャーキャピタリストとなった理由、新ファンド設立の背景をうかがった。後編では、1on3の特徴をうかがう。

オンラインになり見落とされがちな、投資相談のパートナー情報を補う

「1on3」のプログラムを始められた背景を教えてください。従来の投資家面談と何が変わるのか特徴を教えていただけますでしょうか?

コロナ以前、僕たち自身も起業家との出会いはイベントなどオフラインの偶然の出会いがメインでした。オンラインではこの偶然の出会いが減っていると感じています。これは起業家とVCに限らず、起業家と起業家の間でも起きていると思います。

今回1on3で重要視しているのは、1on3の3の部分なんです。僕ら3人にまずはフラットな状態で会っていただいて、お互いどんな人かを知った上で「具体的に相談するなら誰に相談したいと思うのか?」を起業家にテストしていただく仕組みになっています。ただの投資相談だけなら、それぞれオンラインで日程をもうけて相談を受ける方法で良かったのですが、起業家側にとってはベンチャーキャピタリストの誰を選ぶかが初期の段階で大事なんです。「ドーガン・ベータの誰に相談するか?」という起業家に負担がかかる部分を見過ごさずに、今回のファンドの中では個別で初回面談を実施するのでは無く、みんなで集まって面談し、起業家の負担を軽減しようという目的から1on3を始めました。

(1on3はドーガン・ベータのキャピタリスト全員とフラットに会話することができるのが特徴。初回面談後に、今後面談を継続するか、継続する場合どのベンチャーキャピタリストを選ぶかは起業家自身が決めることができる。)

スタートアップの分野は幅広いと思うのですが、得意な分野などはありますか?
特にどのキャピタリストも分野を限定してはいません。もちろん、僕らだけでは対応できない知見やノウハウなどは、専門分野のプロフェッショナルをお誘いして一緒になってサポートをしていくこともあります。今までの実績としては、僕の担当先のQPS研究所やMedmainには僕から紹介した方に、中核メンバーとして参画して頂けました。

最初の顔合わせ、ブラッシュアップ目的での面談が可能

スタートアップは1on3をどんな目的で利用できるか教えていただけますか?

実際に1on3を始めて、継続して面談を続けていただく起業家も増えてきています。1on3は投資をするための機会というよりは、最初の顔合わせという意味合いに近いです。起業家の方はこれが投資のプロセスというよりは、お互いがブラッシュアップするための入り口として考えていただければ。もちろんそこから投資のフェーズに進む方もいらっしゃいます。初回からオンラインで約一ヵ月で投資決定がほぼ決まっている先もあるんですよ。

(1on3の流れ。ドーガン・ベータでは「チーム、戦略、市場」の3つを投資先の選定で重要視している。)

オンラインで面識の無い起業家とコミュニケーションを取ることに難しさはありますか?一般にシードのスタートアップはプロダクトができていない分、より起業家の人間性も重視されるとうかがいますが。

僕自身も最初はオンラインで人柄などわかるかな? とも思っていたのですが、実際にオンライン面談を続けて感じているのは、起業家とVCは「事業を大きくする」という目的と方向性が明確にわかってコミュニケーションを取るので、熱量さえあればお互いの人柄はきちんと伝わるという印象です。起業家のサービスに対しての愛や知見の深さは、オンラインでも質疑の中でわかってきます。プレゼン資料と画面越しに伝わる内容で、オンラインでもリアルでも起業家にとってのハードルは変わらないとは感じています。

Whereを持つ起業家は、今後も人の共感を集められる

福岡・九州で起業を目指す方へ、起業家の方へのメッセージをお願いします。

事業のアイデアを練るという段階で何よりも大事にして欲しいのが、「この事業を展開して、どこに行き、そこからどんな景色を見たいのか?」ということです。起業を始めたばかりの段階では、どうしても目先のことだけになってしまうのですが、事業で叶えたい理想とはどんなところなのか? Whereを持った方がこれからも人の共感を集められると思いますし、そこを大事にしていただきたいです。そこが定まると、現実にそこに行くためのプランとして事業計画が必要なだけなんですよ。

Whereとアイデアの順序が逆になってしまうとなかなか良い計画にならないし、その先に良い景色も無いんじゃないかと思います。Whereを持つ起業家の伴走をして、成功の道筋をサポートしていくのが、僕たちの役割だと考えています。

福岡・九州で挑戦するスタートアップを支え続けるドーガン・ベータ。その実績もあり、投資先から福岡スタートアップをリードする代表的な存在が次々に生まれた。今回、新ファンド設立と合わせオンラインでの面談が可能になったことで、福岡に限らず九州全体の起業家の選択肢がより広がることが期待できる。今後も明星和楽では福岡・九州のスタートアップに役立つ情報を発信していく。