明星和楽は言語化できない。言語化した瞬間、その本質はどこかへ失われてしまう気がする。明星和楽 2014 in 台北が終了してから2週間が経った。言語として脳裏に刻まれないあれは、もはや夢だったのじゃないかとさえ思う。 このまま夢になってしまう前に、2014年1月に台北で行われた明星和楽 2014の様子を写真とともにレポートする。もっとも、どれだけ写真を集めたとしても、その本質を表現できるとは到底思えないのだけれど。
MYOJO WARAKU 2014 in TAIPEI – Jan 18, 2014
明星和楽は言語化できない。2011年、福岡で始まった「テクノロジーとクリエイティブの祭典」は、当初その言語化できない特性がネックとなり苦労を強いられることになる。しかしこの特性をポジティブに捉えてみると、明星和楽にははなから言語の壁が存在しないということだ。事実、2013年にはロンドンで、そして今回は台北で、海を越えて開催されることとなる。
走っている車を写真に収める。十分にシャッタースピードが速ければ、そこには止まった車が写し出されている。この写真は走っている車という本質を写し出してはいない。明星和楽の一瞬一瞬を切り刻んだ写真たち。その一枚一枚がどれほどの伝達力を持つのか分からないけれど、台北で何が起きたのか、明星和楽とは何なのか、写真の力を借りて伝えてみようと思う。
「 台湾の原宿」と呼ばれる西門の街に異質な存在感を醸し出す西門紅楼(シーメン・ホンロウ)。100年の歴史がある建物だという。ここが明星和楽 2014 in 台北の会場だ。テクノロジーとクリエイティブの祭典とのギャップを感じざるを得ない。
会場でリハーサルに立ち会い、夜はプレパーティーへ。日本からはスタッフとツアー申込者のみ、台湾からは自由参加という形式で行われる。オブジェやポスター、書籍やファッショングッズ、それからなぜだかコピー機が置かれているカオスな店内に、中国語、日本語、英語が入り乱れる。
台湾のスタートアップのピッチがはじまる。商品を購入前にお試しできるサービスを展開している。そして、英語で行われたピッチに熱心に聞き入る参加者たち。
福岡県からのお知らせ。こちらは日本語だ。公用語不在のカオスな空間。明日の本番も言語とコンテンツが入り混じるカオスなイベントとなる予感がする。
そして翌日。1月18日。明星和楽 2014 in 台北が開催される。開場前には長蛇の列ができる。台湾側ではどのようなプロモーションがなされていたのだろうか。
いよいよ何が起こるか分からない、実際のところ観客はざっくりしたタイムテーブルしか知らされていない、明星和楽の開幕。
Startup Showcaseがはじまる。台湾と日本のスタートアップによるピッチ大会。私事ではあるが前日のプレパーティーでいきなり登壇のオファーをもらい必死に準備をしていたため、他のスタートアップのピッチはまったく聞いていなかった。ごめんなさい。
台湾から福岡へ拠点を移して起業したCapsuleの埴渕氏のピッチ。今回のイベントではコーディーネーターも務める。その他、台湾と福岡から6社のスタートアップが参加する。
Startup Showcaseの優勝者には福岡への航空券が贈られる。
続いて、テレビ各局とマス×インタラクティブを切り口とした番組 企画・広告企画・システム提供を開始しているバスキュールのプロデューサー西村真里子氏が登壇。過去に手がけたクリエイティブなプロジェクトを紹介する。
Androidスマートフォンを宇宙に打ち上げるプロジェクトの紹介。
テレビとスマフォでインタラクティブにゲームに参加できるシステム。壇蜜の身体にプロジェクションマッピングが施されている。
会場では実際にスマートフォンからリアルタイムにゲームに参加することができる。スマートフォンを真剣に見つめる観客たち。
2階ホールから1階に降りて行くと日本からやってきたナストマくんの展示ブース。日本語に引き寄せられて声をかける現地の方も多いという。
BacklogやCacooなどを世界的に展開するヌーラボの展示ブース。
たくさんの人でごった返すマーケット会場。かなりクオリティの高いオリジナル商品が並んでいる。
さらに奥に進むと、野外ステージでDJがパフォーマンスを披露している。
屋台では台湾の長浜ラーメンを食べることができる。福岡人が台湾に来てあえてラーメンを食べるという奇妙な光景が相次いつぐ。そんなにラーメンが食べたいのか。
人だかりができたかと思うと、Lev. from DVLが登場。台湾でもすごい人気だ。
再び2階ホールへ戻る。ここからはトークとパフォーマンスが交互に入れ替わるMyojoとWarakuのコーナー。最初のトークセッションは、左からモンブランピクチャーズの平田氏、paperboy&co.の進氏、gumi Westの今泉氏。
PinkoiのPeter氏とpaperboy&co.の佐藤氏との対談。台湾と日本で、ともにハンドメイド商品のECを扱っている。
iPeenのSky氏とJS Adways MediaのJason氏によるパネルディスカッション。
invisible designs lab.の稲岡氏が登壇。
台湾と日本をつなぐファッションアイコンKUSAによるライブパフォーマンス。
台湾版を創刊した『NO!!』の松本氏が登壇。トークとパフォーマンスが目まぐるしく入れ替わる。
Rev. from DVLによる歌とダンスのパフォーマンス。台湾での初ライブだ。
明星和楽には「明日のスターを発掘する」という意味合いも込められている。それを象徴するかのように思えたのが、Rev. from DVLのステージだ。メンバーのひとり橋本環奈が「天使すぎる」とネットを騒然とさせたのは記憶に新しい。今でこそ知名度が急上昇中のRev. from DVLは、かつて明星和楽 2012のサブステージに登場している。サブステージからメインステージへ。福岡から海外へ。彼女たちは、どこまで行ってしまうのか。
マジ天使すぎる明星和楽オーガナイザーの橋本正徳。橋本違いで申し訳ない。
250人を収容できるホール観客が押し寄せ、入場規制がかけられることとなる。立ち見の観客が増え、会場内を移動しての撮影が困難となる。
盛り上がってきたところで、Fukuoka Nightが開催される。福岡市の高島市長が登場。
明星和楽恒例となった市長による福岡アピール。「福岡を知っていますか?」という問いかけに対して、会場内ではたくさんの手が挙がる。
ヒューマンビートボクサーのDAICHIのパフォーマンス。楽器を使わず、口だけで音楽を奏でる。会場を巻き込んで大いに盛り上がる圧巻のパフォーマンス。
YouTubeで話題となった「口だけであまちゃんOPテーマ」をライブレコーディングで生披露。人間技とは思えない。
侍BALLERSによるバスケットボール・音楽・ダンスを融合させたオリジナルパフォーマンス。こちらも人間技とは思えない。
続いて、福岡市カワイイ区2代目区長のミカエラ氏が登場。自身の活動の様子を紹介し、福岡の魅力をアピールする。
野外ステージでは地元のDJたちがパフォーマンスを披露している。台日DJのコラボも実現。
前述のバスキュール西村氏によるスマートフォンを使ったゲーム大会が開催され、上位者には景品がプレゼントされる。
Rev. from DVLの橋本環奈からプレゼントを受け取る少年。彼はこの後、他のファンからボコボコにされることとなる。
アジア各地でのバックボーンを持つ四人組 ユニットASIAN 4 FRONTのライブパフォーマンス。
明星和楽皆勤賞のJulie WataiがDJパフォーマンスを披露。
野外ステージではマジ天使すぎる橋本正徳が登場。ステージのレーザーが周囲の建物を照らす。日本であれば怒られるシチュエーションだ。
会場の都合により明星和楽恒例の朝まで酒池肉林は封印。最後はスタッフで記念撮影。
スター発掘の象徴としてRev. from DVLを挙げたが、他にも今回のStartup Showcaseの登壇者にベンチャーキャピタルから声がかかったという話も聞く。これだけでも、単に著名人を集めてイベントを開催したのではないということが分かる。その開催意義は大きい。
明星和楽とは何だったのか?毎年イベントが終わるたびに、考えを巡らす。言語化できないモヤモヤが思考回路に渦巻いている。「考えるな、感じろ!(Don’t think. Feel!)」ブルース・リーの声が聞こえてくる。結局のところ、言語化できない明星和楽は「体験」してみるしかないのだという結論に落ち着く。
言葉では、写真では伝えきれない明星和楽。このレポートにどれほどの価値があるのか分からない。本当の明星和楽を知りたければ、ぜひ現地でそれを「体験」すべきだ。もはや海を越え開催地すらも予測できない明星和楽。次はどこへ向かうのだろうか。その目で確かめて欲しい。