クレイジーな人たちが大好きだ。ひとたびクレイジーな人の存在を知れば、食事も睡眠も必要ない。ネットでその人物に関する記事を発掘しては、クレイジーな人間がどのように作られるのか思いを馳せる日々を過ごすことになる。
彼らはクレージーと言われるが 私たちは天才だと思う
自分が世界を変えられると本気で信じる人たちこそが
本当に世界を変えているのだからThink Different (Apple社のCM)
福岡市は「クリエイティブ・エンターテインメント都市づくり推進事業」を進めている。クリエイティブというのが何なのかはよくわからないが、大好きなクレイジーな人々の活動がより活発になっていくのを想像するとワクワクしてくる。
そんな「クリエイティブ・エンターテイメント都市ふくおか」の協力により、ウルトラテクノロジスト集団「チームラボ」のエキシビジョンが開催されるという。しかも、福岡で活躍するクリエーターたちの作品も展示される。ヨダレがちょちょぎれる。そのエキシビジョンの様子を写真で振り返る。
『The Cave』 ~teamLab Exhibition Fukuoka 2013|イベント・公演|キャナルシティ博多
チームラボは代表作とも言える「花紅(ハナハクレナイ)」の他に「Fukuoka × teamLab」と題した新作を披露してくれるという。ヨダレがちょちょぎれる。
4月13日。土曜日。開催場所はキャナルシティ博多。六本木ヒルズも手がけた建築家ジョン・ジャーディによりデザインされたこの複合商業施設は、踏み込んだ瞬間にクリエイティブ感が漂っている。ただし、クリエイティブすぎて迷子になる。
「The Cave」と名付けられた無機質な洞窟の中でエキシビジョンが展開されている。中に踏み込むと、無機質な外観からは想像もできない有機的な体験をすることになる。
FUKUOKA × チームラボ。VJ TKMi率いるB-DASH Lab.。そしてanno labとinvisible designs lab.のコラボレーション作品を体験することができる。展示と書くことに違和感を覚えた。これは展示じゃない、体験だ。
洞窟の中に入ると3方の壁にプロジェクターで映像が投影されており、作品の「中にいる」感覚に陥る。写真では一歩引いて撮影しているので伝わりにくいが、たとえ超広角レンズをもってしてもこの感覚を写真で伝えるのは不可能だろう。
以前放送された「情熱大陸」というテレビ番組。チームラボ代表の猪子寿之氏の特集でまず目に入ったのは、台湾の美術館の展示作品で遊ぶ子どもたち。子どもにウケるというのはクリエイティブの大切な要素だと個人的には考えている。
ISSEY MIYAKEなどのショップデザインを手がけ世界的に高く評価されているデザイナー吉岡徳仁氏がテレビ番組で語っていたのを思い出した。優れた店頭ディスプレイができたときには、ウインドウに小さな手形がたくさんついているのだという。子どもが喜ぶのはよいデザインなのだそうだ。
作品に釘付けの子どもたち。まだ見ていたいー。もういっかい見たいー。というリクエストに応えて、長時間滞在のうえ、何度も出入りしていた。しまいにはスタッフに覚えられて、次の作品が始まってますよと教えてもらうまでになっていた。
5台のプロジェクターがThe Caveの壁を有機質へと変えていく。中央にはKinectのようなデバイスが設置されているように見える。
クレイジーなクリエイターを追い続け、いつしかクレイジー・ハンターの異名をとるようになった。まあ、自分で呼んでいるだけで、他の誰もそう呼ばないのだけれど。今回のエキシビジョンを知ったのは、クレイジー・ハンターの血を騒がせたあるブログ記事だった。
» ようこそ、近未来。僕らの九州へ。 雨宮美奈子、ももいろ革命
この記事自体はかなりおとなしいのだが、他の記事を見ると野放しにしておくのが危険なほどの狂気を感じる。
彼女がタイトルおよび紹介文を担当したのが、VJ TKMiの「B-DASH Lab.」による作品。VJ TKMiもまたクレイジー・ハンターのターゲットのひとりだ。
起業の経緯×吉田拓巳氏(1) | Entrepreneurs’ Mind
Clap Your Hands!!のメッセージが表示され、参加者が手を叩きはじめる。
その音に反応して光のチップが花火のように広がる。音楽のリズムに合わせて手を叩くわけではない。各自が思い思いに手を叩くのだが、それが神社の拍手(かしわで)を思い起こさせる。極めて電子的なビジュアルのなかで、和風な拍手が聞こえてくるギャップに面白味を感じた。
作品の入れ替えは1時間ごととなっており、3作品をすべて体験するには最低でも1時間はかかる。その間に、迷子にするために設計されたのではないかという噂のキャナルシティ博多を歩きまわってみた。
時間を隔てて2組みのライブが行われていた。
時間を見計らってThe Caveへ戻る。今日ここに入るのは何度目だろうか。福岡のクリエイティブ・ラボ「anno lab」と音のスペシャリスト「invisible designs lab.」とのコラボレーション。
体の動きを検知するデバイスを使い、体を動かして映像と音を操作するというインタラクティブな作品となっている。
洞窟の外に出ると、anno labの藤岡定氏(左)とinvisible designs lab.松尾謙二郎氏(右)が並んでいるのを発見し、写真を撮らせていただいた。なかなか濃いツーショットだ。お二人ともクレイジーの極みにもかかわらず、話をするときはとても柔らかい感じで、そのギャップにクレイジーさが際立つ。
anno lab – あのラボ | the design studio in Fukuoka
anno labのヘンタイ具合はこの作品で存分に発揮されている。今回のようなクールなインスタレーションの他に、ヘンタイ活動にも余念がない。
invisible designs lab.というと「森の木琴」プロジェクトが有名だ。これもまた狂気の沙汰としか思えないプロジェクトだと思う。
TOUCH WOOD SH-08C「森の木琴」篇 – YouTube
Shake Your Mind! こころを揺さぶれ: 松尾 謙二郎 at TEDxFukuoka – YouTube
少し戻って、「B-DASH Lab.」の作品の展示目的について触れておこう。
宇宙の謎に挑むための国際的な研究施設「ILC」を九州に誘致しようという活動を普及するために立ち上がった若者たちによる作品となっている。会場では署名を求めるフライヤーが配られていた。
すっかり長くなってしまったが、長すぎて読めない記事を書こうと思っているので、まったく問題ない。
今回は子どもたちを連れていったため、途中で飽きてぐずりだしたらどうしようかという不安があった。しかし予想に反して、クリエイティブ・エキシビジョンを楽しんでくれたようだ。楽しかったー!また来たい!という子どもたちに、何が一番楽しかったか聞いてみたところ、「おやつ食べたのー」という答えが帰ってきた。クレイジー・ハンターの血が騒ぎ出すのを感じた。
その他の写真はf365でご覧になれます。
f365 | 『The Cave』 ~teamLab Exhibition Fukuoka 2013