「映画 × 〇〇」 福岡インディペンデント映画祭実行委員会 金石智宏さんのクリエイティブ〜勝手にクリエイティブ大賞2018インタビュー〜

「映画 × 〇〇」 福岡インディペンデント映画祭実行委員会 金石智宏さんのクリエイティブ〜勝手にクリエイティブ大賞2018インタビュー〜
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今年3月26日、福岡・六本松蔦屋書店にて「勝手にクリエイティブ大賞2018」が行われました。

当時の様子はこちらからご覧いただけます。
大賞は〇〇×〇〇!? 〜勝手にクリエイティブ大賞2018を開催しました〜

明星和楽のテーマ、「異種交創」。

このイベントでは、「異種交創」によって生まれた新しいモノ・コトを発掘することをテーマに、一般の方々やゲスト審査員が“勝手に”エントリー作品をリストアップし、その中から審査を通じて賞が与えられます。

今回の「勝手にクリエイティブ大賞2018インタビュー企画」では、大賞・優秀賞を受賞した方々にインタビューを行なっていきます。

今回は、優秀賞を受賞した金石智宏さんにお話を伺いました。

クリエイティブ大賞を受賞しての感想を聞かせてください。

いろんな活動をしている方が福岡にこんなにもいるんだ、と知ることができて良かったです。以前から福岡は縦割りな社会であんまり横の繋がりを作らないイメージがあって…。

クリエイティブ大賞は漠然としつつも、いろんな分野の方がいろんなことをやっていることを横並びで見ることができました。異なる分野で活動をやっている方々と知り合うことができたのも良かったですね。

また、僕たちが福岡で地道にやってきた活動がクリエイティブ大賞を通して、多くの方に認知されたのも嬉しかったです。僕たちの活動を応援してくださる方がこんなにいるんだ、と。今回、”勝手に”ノミネートされて本当に良かったなと感じます。

金石さんの活動のきっかけについて教えてください。

もともと福岡で自主制作映画を作っているチームがありました。僕もそのチームのメンバーとして、勉強がてら映像を作ったりしていて。

福岡にはアジアフォーカス・福岡国際映画祭があって、その協賛企画の中国映画祭に前代表が関わっていたんです。でも、予算の問題などで運営が厳しい状態に…。そこで、新しい企画として「福岡で映像を作っている若手を紹介する場所」をつくろうという話になりました。

そして、福岡で映像制作をやっている若手が集まって、福岡総合図書館で上映会を開催したのです。これが、「福岡インディペンデント映画祭」の第1回です。発端当初は、「勝手にクリエイティブ大賞」みたいに、福岡で映像を作っている若手の横のつながりを作りたいということも目的としてはありました。

でも、その第1回目で今まで作り上げてきた数年分の作品を発表してしまったので、次回発表する作品をどうしようかと悩みました。映画ってそんな簡単に作れるものではないので…(笑)。
そこで、当時mixiの全盛期で全国に映画好きな人がたくさんいることは知っていたので、「僕たちみたいに映画を作っている若手を全国から集めてコンペティションしよう!」ということで募集をかけてみたところ、なんと65もの作品が全国から集まりました…!もうびっくりでしたね。

関東や関西の人たちが作る映画はやっぱり面白かったですし、すごく刺激をもらえました。作った作品をどう見せるかということを考えるきっかけにもなって。翌年はもっと大きな規模で開催し、2015年までは応募作品も集客も右肩上がりでした。

年に一度、福岡に映画の作り手の方々が集まる。若手のクリエイター同士の触れ合いだったり、登竜門的なポジションを作れたらなあと。そんな感じで今に至ります。

ご自身も映像制作に携わっていたんですね。

そうですね、昔は自分でも作っていた時期がありました。ただ、次第に映画祭の仕事の方がボリューミーになり、今は完全に裏方になりましたね(笑)。

映画を作りたい気持ちはありますが、映画作るのって結構大変なんです。なので、制作自体からは少し距離は置いています。今は映画を作っている方々のお手伝いや環境作りができたらいいなと。映画祭に関わっていただいた方々には上映の機会を設けたり、少しアドバイスしたり、人を紹介したりしてます。

映画祭をやる魅力やモチベーションは何ですか?

作品や人との出会い。これが一番ですね。
作品はコンペの度に150本くらいのペースで集まっていて、短編から長編まで合わせるといままで1000本以上は上映しています。人との出会いという部分でも、映画祭ではスタッフや映画制作者、関係者はもちろん、その親族の方まで集まってくれるんですよ。毎年良い出会いがあります。

福岡での作品上映を映画館で実現させることは独立系映画館の少ない福岡では難しい中で、作品に関わる人たちが福岡に縁があって、出来上がった作品を福岡で発表する貴重な機会の一つだと思っています。また、実際にあった話ですが、福岡出身で単身上京している俳優さんのドキュメンタリーを上映したことがあります。その俳優さんは初めて自分の頑張っている姿を地元のスクリーンで親御さんに見せることができたらしいのです。そうやっていろんな形でいろんな人を応援する仕組みとして映画祭ができたら最高かなと思うんです。福岡という地域性でしかできないことをやっていければいいなと思います。

映画祭自体のこれからの動きや構想について教えてください。

映画祭以前から前代表が国際映画祭のある韓国・釜山で取材をしてドキュメンタリーを作っていました。そこで感じたのが、日本と韓国の映像制作者にとっての環境の違い。

韓国は国策として映像制作者育成の教育を充実させ、コンテンツとして世に出す仕組みがしっかりとしています。韓国の人たちは1本の映画に対して、それが有名であろうとなかろうとすごい興味を示してくれる。映画や映像を学びたいという強い思いを持った人が多いので、映画祭での議論はものすごく盛り上がります。

僕たちもこれまで何度か相互上映させてもらっていて、本当に釜山はすごいなと肌で感じています。映画を作って見せる環境と成熟した映画ファンが街にいる環境がすごく素晴らしい。釜山との国際交流は今後も続けていきたいなあと思っています。

一方で、日本は助成金みたいな仕組みも一応あるんですが、もともと映画が商業娯楽・エンターテイメントとして生まれた背景があるので、まだ映像が「文化」として発達していない感覚があります。映画を学べる場所が関東や関西にしかなく、芸大は地方にもありますが映画専門で教鞭を執れる人は貴重ですから、地方の感覚だけで映画を作っていくのは難しいなと感じます。

また、今はカメラやドローンなど技術がすごいです。そのような新しい技術が先行して、人にフォーカスを当てる従来の映画文脈ではない新しい文化が生まれています。それはそれで面白いのですが、映画業界からはアレルギー反応が強くあり、共存することができていません。そこで、その橋渡しをできる役割としてインディペンデント映画祭が機能してくれれば嬉しいです。映画は年齢関係なくチャレンジできる自由な分野なので、若い世代には型にはまらずに頑張って欲しいと思います。

また、台湾との交流も4年前から始めていますが、福岡に来たクリエイターはアジアに進出できる。これからはそういう動きも積極的に作りたいなと思っています。

金石さんにとっての映画とは?

365日フル稼働で仕事をしている中で、映画を見る時間が至福の特別な時間でして、その時間を楽しむために仕事を頑張っているみたいな(笑)。

今は環境がとても整っているので、フィルムの時代に比べて映画を撮るのは比較的簡単です。だからこそ、撮った映画をどう展開していくか、見てもらう工夫やプロモーションが難しい時代になっています。例えば、絵画にしたって絵は誰だって描ける。それをどう見せるか、誰に見せるか、どうやってお金に変えるかが難しくなっていて。作りたいものを比較的簡単に作れるいい時代になりましたが、それをどう展開していくかが今後のカギになると思います。

金石さんにとって「クリエイティブ」とは?

創造性、何か新しいことをしているってことですかね。

もちろん、僕たちの活動はかつては新しかったかもしれないです。さらに言うと、10年間も続けていることが新しいのかなと。継続ってすごく難しくて、続けていくためにどうするかって、これはすごく大変なんです。

誰かに事業を継承するとか、新しく作り直すとか色々アプローチの方法はあると思います。僕たちが映画祭を始めて5年間くらいは怖いもの無しで、勢いでやってました。スタッフのモチベーションも高いし、集まってくれる人もすごく満足度が高い。でも、継続していくために“無理をしない”というところまできました。ちょっと守っている部分もあって(笑)。

何かを作りたい人はたくさんいるので、それを応援してあげることはとても大切です。僕たちはそれを応援することができる装置の一つ。作り続ける以上は応援してあげたいんです。才能ある人でも作り続ける事は相応に困難な問題もあるので、制作を続けられる環境のお手伝いやメンタルケアなどこれからも微力ながら応援し続けたいと思います。

福岡インディペンデント映画祭のこれからに注目し続けたい。

今年で第12回を迎える福岡インディペンデント映画祭2020では、コンペティション応募作品を受付中!

作品の応募締め切りは2020年1月11日(土)までとなっております。

詳細・エントリーは公式ホームページにてご確認下さい。

福岡インディペンデント映画祭公式ホームページ