「移住×ドラフト会議×九州」 南九州移住ドラフト会議 〜勝手にクリエイティブ大賞2019 インタビュー〜

「移住×ドラフト会議×九州」 南九州移住ドラフト会議 〜勝手にクリエイティブ大賞2019 インタビュー〜
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2019年10月29日・30日に天神・スカラエスパシオで行われた「明星和楽2019」。
1日目には「勝手にクリエイティブ大賞2019」が行われました。

明星和楽のテーマ、「異種交創」。

このイベントでは、「異種交創」によって生まれた新しいモノ・コトを発掘することをテーマに、一般の方々やゲスト審査員が“勝手に”エントリー作品をリストアップし、その中から審査を通じて賞が与えられます。

今回の「勝手にクリエイティブ大賞2019インタビュー」では、大賞・優秀賞を受賞した方々にインタビューを行なっていきます。

今回は、見事大賞を受賞した「南九州移住ドラフト会議」副代表・田鹿 倫基(たじか ともき)さんにお話を伺いました。

Q. 勝手にクリエイティブ大賞の感想をお聞かせください。

イベント名が「勝手にクリエイティブ大賞」ということで、勝手に応募されて勝手にノミネートされました。ノミネートの連絡が来たときは、嬉しいというより「そのイベントってなんだっけ?」と戸惑って(笑)。明星和楽のサイトや過去の実績を調べるうちに、こんなおしゃれなイベントに出させていただけるんだと嬉しくなりました。

ドラフト会議を4回開催してきて、宮崎や鹿児島で地域活動をやっている方々には認知されるようになりました。数年かけて地道にやってきたのがノミネートの要因かなと思います。

本番の発表は始球式風のコントをしたんですが、とても緊張しましたよ。発表が終わった安堵からか、審査員のアドバイスは全く覚えてません。ごめんなさい。

他のノミネート5作品が福岡のものだったので、「福岡だけが九州じゃないぞ!」という南九州の意地とプライドをかけて発表に臨みました。とりあえず南九州にヤバい奴らがいるなと知ってもらいたかったので。大賞をいただくことができて本当に光栄です。

Q. 南九州移住ドラフト会議の活動内容について教えてください。

南九州移住ドラフト会議では、移住者を獲得したい地域(=球団)が移住志望者(=選手)を指名する、プロ野球のドラフト会議に見立てた移住支援プロジェクトで、約半年をかけてオープン戦→キャンプ→指名会議→ペナントレース→クライマックスシリーズへと続く「ほぼプロ野球だけど、全然野球関係ない」イベントです。

各地域がSNSで地元のPRをする「オープン戦」や各地域と移住希望者が移住について学ぶ「移住力強化キャンプ」。そして最後に各地域のメンバーと移住希望者が一同に会して「ドラフト会議」が行われます。各地域は自分の地域に移住して欲しい移住希望者を指名し、被った場合には抽選を行ます。抽選に当たった地域は、その移住希望者との「独占交渉権」を獲得できます。

Q. 南九州ドラフト会議はどのようにして始まったのですか。

ドラフト会議 代表の永山が行政向けの業務支援を鹿児島でやっていたんですね。その中でトレンドになっていたのが移住者の獲得。多くの自治体がイベントに行ってブースを出し、地元の特産品や観光資源をPRしていました。

でも、「うちの地域いいですよ」といくら言われても、移住を考えている人はなかなか決断ができない。そこで、「あなたに来て欲しいです!」と言ってあげた方がその土地に行きやすいのではないかと考えました。

ただ、自治体側が移住者を決めるのはなかなか挑戦的なこと。それを面白おかしくコント仕立てにすれば成り立つのではと考え、プロ野球のドラフト会議のように移住希望者を各地域が指名する形にしました。壮大なコントでこれをやり切ろうと思ったのが最初。

今は南九州ドラフト会議という名称ですが、第1回は鹿児島移住ドラフト会議として鹿児島からスタート。3回目からは宮崎、4回目からは熊本も対象にして、南九州ドラフト会議となりました。今年は新型コロナウイルスの影響もあり、次回のドラフト会議は規模を九州全域に拡大し、2020年と2021年を合同で九州移住ドラフト会議2021を開催しようと考えています。

Q. 移住ドラフト会議の効果はありましたか?

今まで4回実施して、各球団から指名させていただいた方が約120名います。そのうち、30名弱の方々は実際に移住をしています。また、移住はせずにリモートで一緒に仕事をする事例も。例えば、ドラフト会議で指名したエンジニアの方と一緒に、地域のローカルメディアを作ったり。指名された4, 5人のうち1人が移住するということで、打率は高いんじゃないかなと思っています。

ドラフト会議を主催する側、つまり移住者を迎える側は自治体が主ではなく有志のメンバーです。自治体がやってしまうと、どうしても仕事感が出てしまって。実際にその地域で生活しているメンバーが移住して欲しい方を指名するので、移住した後の生活や交流がイメージしやすいのかなと。その地域で生活しているメンバーから「あなたと一緒にこういうことをやりたいんだ」と言われた方が移住しやすい、というのはあると思います。また、南九州独特のノリがあって、楽しそうにドラフト会議を行っています。

Q. ドラフト会議の規模を拡大するんですよね。懸念していることはありますか?

九州という規模になると、各地域との連携が少し難しくなるんじゃないかなと心配しています。12の地域が参加した第4回のドラフト会議では、ドラフト会議前のいろんなイベントや交流会を通して、地域どうしで仲良くなることができました。ドラフト会議が終わった後も、地域間で近況やノウハウが共有されていたり。規模が九州全体に拡大したとき、物理的な距離が大きくなるに伴い、今までと同じような形で交流できるかどうかは不安です。

また、四国など他の地域から「南九州移住ドラフト会議みたいな移住支援プロジェクトをやりたい」とご連絡をしていただいています。現時点でドラフト会議自体は九州に限定していますが、他の地域向けに仕様書を作ったり、初年度だけ一緒にプロジェクトを実施したりとフランチャイズな形で広まっていけばいいなと思っています。

Q. 移住ドラフト会議の今後の目標について教えてください。

これまで、移住ドラフト会議は有志によるサークル活動のようなノリで運営してきました。任意団体として活動していた組織ですが、7月に法人化を予定しています。その理由としては先ほどもお伝えしましたが、4回の移住ドラフト会議で120名を超える方々が移住を希望し、そのうち30名弱が実際に移住をするなど、人と地域の出会いをたくさん生んできました。

しかし、九州をもっと面白くするためには、人と地域が出会うだけではなく、ドラフト会議を通して出会った人と地域が、どのように面白くしていくかが大切です。そのためには、まず地域が目指したい姿を地域主体で描くことが不可欠。地域の本質的な課題や目指す姿を把握し、課題解決や目標達成のための戦略を考えます。その上で、地域のことは地域でできるようになることも大切です。地域が主体となり、地域がより面白くなるための戦略を立てて実行するという素地を作ることで、九州という地域を一人一人が、自分の持つ可能性を最大限発揮させることができる、最高の舞台にできるのではないかと思っています。

今後は、これまでの移住ドラフト会議に加えて、九州を舞台とする様々な事業を地元で受託・運用できる体制づくりや九州に関わるコミュニティ作り、人材の育成を行っていきます。

私たちと一緒に九州をより面白くするための仕組みづくりに興味がある方がいらっしゃいましたら、ご連絡ください!

メールアドレス:info@npb.co.jp
Facebook:https://www.facebook.com/mlp.ijudraft/

 

 


田鹿 倫基(たじか ともき)

1984年生まれ、宮崎県出身。2009年宮崎大学教育文化学部を卒業後、株式会社リクルート事業開発室勤務。インターネット広告の新規事業の立ち上げや、㈱電通、東京工業大学との合弁会社ブログウォッチャーを兼務し位置情報と口コミを使った新サービスの立ち上げに携わる。その後、上海に本社を置く広告会社、爱德威广告上海有限公司(アドウェイズ中国法人)に転職し、中国人スタッフとともに北京事務所の立ち上げを行う。大手航空会社、大手旅行会社、衣料メーカーのなどプロモーションを担当。また、外国人観光客向けのWEBマーケティング事業の立ち上げ、観光庁や大手百貨店のWEBマーケティングを担った。2013年からは宮崎県日南市のマーケティング専門官として着任し、地域のマーケティング事業を行う。ベンチャー企業との協業事業や、自治体のブランディング活動。企業の誘致。起業家の育成・誘致。農林水産業の振興、地域の人口動態を踏まえた地方創生関連事業を行う。

追記(2020年7月7日)
2020年7月7日、九州地域間連携推進機構株式会社が誕生しました
https://note.com/npb_kyushu/n/n8e3d2a4e3f60