コワーキングスペース経営の最前線に立ち続ける覚悟はあるか

コワーキングスペース経営の最前線に立ち続ける覚悟はあるか

例によって、ホッテントリメーカーによるタイトルです。

先日行なったスタートアップデイティング・サロンの「福岡のオープンスペースの運営者同士が本音トーク」で、コワーキングスペースの経営について少し触れることがありました。コワーキングスペースは、利用者視点で語られることは多いですが、経営者・運営者視点で語られることは少ないと感じています。

「オープンスペースの運営者同士が本音トーク」では、コワーキングスペースを含むシェアオフィスなどのオープンな場を提供する4名の方々に話してもらいました。4スペースのうち、黒字で経営出来ているのは半分の2スペースで、残りの半分のスペースは赤字という状況。また、収入はイベントや飲食などで得ることがほとんどで、コワーキングスペースの求められている本質の部分とはちょっと違ってきているように感じました。感覚としては、回転率の低い安い飲食業といったところでしょうか。割り切って「飲食店だ」と思い込んでみても、飲食店の廃業率は24.1%(3年間)のようで、飲食業のアンチパターンである「回転率が低くて安い」というコワーキングスペースの実働を考えると、とても厳しいです。このような場を続けていくにはおおよそ、既存の飲食店とは違った収益モデルが必要でしょう。

賃貸収益
空席リスクが低い都市部で、且つ、1人でワンルームを借りるよりは安い料金での運営じゃないと向かない選択だと思います。日本では東京くらいかな?といったところ。福岡県福岡市では3万円でワンルームを借りることができるので、家賃の低さによるメリットが出しづらいです。1席あたりの価格がワンルームより安いか同等(もしくはプラスα)の価格で、1人でやる以上の価値を感じる入居者仲間がいないと、利用者から選択されないように感じます。また、ノマドや、スタートアップがワードとしてピックアップされても、その数はまだまだ少ないので、「空席リスク」というのが高い障壁のようにも思えます。

会費収益
サンプリングが少ないのですが、海外(サンフランシスコ)のコワーキングスペースだと、会費(企業による寄付金も含む)による収益で支えられているところが多いように感じます。この収益を出すときの肝は、継続的な企業からの大口寄付かな?と想定します。先ほどあげたように、ノマドや、スタートアップがワードとしてピックアップされても、その数はまだまだ少ないので、複数の人から会費を集めても継続が難しいだろうと思います。そのような寄付ができる企業が多いのは、やはり都市部、東京に多く、逆に地方だと難しそうです。

投資や広告宣伝費と割り切る
多分、現時点では、これが一番ベストかと思います。「賃貸収益」や「会費収益」で挑戦したところで、投資や広告宣伝と割り切っているところがある限り、なかなか、うまくいくような気がしません。例えば、投資先や、人材を発掘するための投資と割り切って破格値で賃しだしたり、自社を知ってもらうためにオフィスの一部を貸し出したりと、コワーキングスペース運営の外周で間接的に利益を獲得すると、経営・運営的にはうまくいきそうです。

僕も過去に「コワーキングスペースをやってみたいな」と色々と考えてみましたが、なかなかうまくいく方法が浮かばず、現在は利用者になっています。このように、できなさそうな理由をあげても、実際にやった人には、その知識や経験は到底及びません。

今回は、うまくいかない話をあげてみましたが、実際にはちゃんと収益をあげているところもあり、一様に「うまくいかない」わけではなさそうです。コワーキングスペースは地域に根ざしたコミュニティーとの相乗効果を出すスペースのように感じますので、社会的意義は少々強めだと思います。先日、僕もお世話になりましたGuildCafe Costaが閉鎖されたということで、その経営・運営の難しさを感じた次第ですが、是非、今後も開業出来る方はして欲しいし、できれば継続していただきたいし、皆で継続に力を合わせていければと思います。

コワーキングスペースの運営に興味をもたれた方は、以下の記事も、是非、参照してください。

成功するコワーキングスペース運営 – 3つのポイント | サンフランシスコ・シリコンバレー拠点のクリエイティブエージェンシー・btrax スタッフブログ

コワーキングスペース経営を楽しくやっていける、もしくは、うまくやっていけるアイデアがあったら、是非、コメント欄に書き込んでみてください!