リバ邸とシェアハウスひだまりが考える「シェアハウス」とは。【シェアハウスインタビュー 後編】

リバ邸とシェアハウスひだまりが考える「シェアハウス」とは。【シェアハウスインタビュー 後編】
Pick Up

Sorry, this entry is only available in Japanese. For the sake of viewer convenience, the content is shown below in the alternative language. You may click the link to switch the active language.

「現代の駆け込み寺」として全国に70軒以上のシェアハウスを展開する「リバ邸」。九州と関東をメインに40軒以上のコミュニティ型シェアハウスを展開する「シェアハウスひだまり」。

今回インタビューを行ったのは、リバ邸 代表の片倉 廉さんとシェアハウスひだまり 代表の林田 直大さん。お二方には、今年2月に開催した「シェアハウスサミット in 九州」へ登壇していただきました。

リバ邸とシェアハウスひだまりが初のコラボ。「シェアハウスともだち」と「暮らすホテル」に迫る。【シェアハウスインタビュー 前編】」に引き続き、シェアハウスのあり方や運営のしくみ、今後の展開などについてお聞きしました。

Q. 国内にもいろんなシェアハウスがあると思うんですが、リバ邸やシェアハウスひだまり市場ではそれぞれどのポジションになりますか?

林田:僕たちはコミュニティ重視のシェアハウスかな。

片倉:コンセプト系のシェアハウスかコミュニティ系のシェアハウスか。それでいうと、リバ邸はコミュニティ系のシェアハウスですね。リバ邸それぞれのシェアハウスでコンセプトも違うし、ルールも違う。そのシェアハウスの運営者が決めたコンセプトやルールに共感したメンバーが入居する感じ。

Q. コミュニティ系のシェアハウスにもいくつかタイプがありますか?

片倉:リバ邸は各物件の運営者が「自分がこういうコミュニティを作りたい」「こんな人と一緒に生活をしたい」という主体性を持って運営しています。運営者それぞれ思いや考えが違います。そのため、それぞれの物件でシェアハウスの雰囲気も違いますね。スタートアップで働いているメンバーがたくさんいる物件もあれば、多種多様なメンバーがゆるりと集まっている物件もあります。

林田:シェアハウスひだまりはどの物件も同じような雰囲気ですね。実際に住んでみるとそれぞれ若干雰囲気が違うけど、基本的にはそんなに変わりません。管理人が住んでないので、住人がどうしたら自主的に自治していけるか仕組みをずっと考えています。外部の清掃業者ではなく住人たちが住居を維持管理し、ルールも住人たちが作ります。管理しない管理が大切だと思っています。

片倉:サービスの提供者である僕たちが管理すると、せいぜい2件くらいが限界ですよね(笑)。

林田:住人にそれぞれ役割を持たせることが大事なのかなと。自分たちがシェアハウスを作っているという意識や雰囲気を持たせる。こちらが植え付けるわけではないけど、自然と自治意識が芽生えるように。

片倉:ひだまりは自治意識や雰囲気、ルールを大枠で作っている感じですね。リバ邸は小枠で作って、雰囲気やルールは各物件の運営者に依存します。

林田:なるほど。リバ邸はシェアハウスというよりコミュニティを作っているのか。

Q. お二人がいろんな事業をやっていく上でのモチベーションを教えてください。

片倉:僕の場合は結構利己的なモチベーションで(笑)。自分が仲良くなりたい人に各物件の運営をしてもらっています。そうすることで遊びとしてはもちろん、仕事としてその人に会いに行ける。ただの観光も楽しいけど、誰かに会いにいく観光ってもっと楽しいじゃないですか。リバ邸をいろんな地域に作っているのは、自分が仲良くなった人と関係をより深くしていくためです(笑)。

林田:自分は居場所がなかった時期があり、自分と同じような境遇の人の居場所になれば良いなという思いが原点にあります。人と人が一緒に長く生活し、普通に生活していたら出会わないような人や出来事に遭遇することで、人間としての器が少なからず大きなくなるんですよ。自分もシェアハウスの経験を通して成長することができたので、他の人にも同じような成長をして欲しいという思いがあります。

片倉:確かに他人に対する許容量は大きくなりますよね。「俺の箸とかコップめっちゃ使うやん!」って思うことたくさんありますもん(笑)。1人暮らしのように自分にとってベストな空間としてではなく、一緒に暮らす人との関わり合いの中でベターを見つけていくのがシェアハウス。

林田:あと、他のメンバーの趣味の影響受けるのも良い経験です。ジャズをやっているメンバーがいて、ジャズなんて一切興味なかったけどハマっちゃう人もいました(笑)。自分の頭の中にないことにふと出会う。そんな成長もありますよね。

片倉:もちろん全員が成長するわけでないんですよ。でも、成長を実感したメンバーが「リバ邸あってよかった」って言ってくれる瞬間がとても嬉しい。飲み屋でぼったくられたある方がいて。めっちゃ落ち込んで人生辛いと言っていたので、リバ邸を紹介して住むことになりました。そして、最終的にリバ邸で彼女を見つけて退去していきました。退去した後に彼から連絡が来て、「あの日、マジで飲み屋で会えてよかったです!」と言われて。住人からのそういう一言は一生忘れないですよね。本当に嬉しかった。

Q. リバ邸・シェアハウスひだまりとして、また個人の今後の展開はありますか?

片倉:一昨年、リバ邸は2020年末までにシェアハウスを100件作るという目標を掲げました。ちなみに今は全部で70件のリバ邸があります。資本主義などの社会システムに適応できない人もたくさんいるし、生きてれば辛いこともたくさんある。物件数が増えれば増えるほどリバ邸に救える人も相乗的に増えていくと思っています。ただ、件数を増やすためにどんな人にでもリバ邸を運営してもらうのではなく、あくまで僕が仲良くなりたい、この人にやって欲しいと思える人に運営を任せるというポリシーは揺らぎません。

林田:僕も同じく、引き続き物件を増やしていくのは大前提として、シェアハウスに住みたい人たちが求めている環境や雰囲気を作っていけたら良いなと思っています。シェアハウスひだまりは少し特殊で、退去したメンバーもご飯会に集まったり、エリア全体でイベントを行っていたりします。年数が経てば経つほどシェアハウスひだまりの関係人口が増えていくので、引き続きシェアハウスを続けていこうと思います。

あとは、先日リリースした高齢者向けのシェアハウスを成立させたいです。病院を持っているお医者さんが、健康寿命を伸ばすことを目的に高齢者向けのシェアハウスを始めることがたまにあります。でも、そのシェアハウスを見つけるのって結局息子さんや娘さんなので老人ホームと同じ感覚で入居してしまう。高齢者が自立して共同生活するのがコンセプトのはずなのに、結局老人ホームになってしまいます。そこで、僕たちがサポートすることで介護前提のシェアハウスではなく、しっかり健康寿命を伸ばして自立した共同生活を送ることができるシェアハウスを作ることができるのではと。

高齢者と若者が共同生活。Hidamariと茅ヶ崎の病院が共同で、元介護施設を多世代共生型のシェアハウスへリニューアル。

個人的な目標は今のところないんですが、今年9月に住んでいる熊本を離れて福岡に移住する予定です。

片倉:個人としてやりたいことはたくさんあります。飲食店付きゲストハウスもやりたいし、シェアハウス住人にエンジェル投資的な支援もやりたい。リバ邸はクラウドファンディングやる住人が多いので、プロジェクトへの支援は個人的によくやりますね。

Q. お二人にとってシェアハウスとは?

片倉:機会を増やす場所だと思っています。僕らはただリバ邸という箱を用意しているだけです。何かやりたい人がいて、その人自身が機会を増やすことができる箱を提供している。まあ、みんな楽しければOKです!(笑)

林田:自分がいて居心地の良い場所ですね。自分がいたいと思える場所が増えるのが良いですよね。

片倉:よく話すんですが、シェアハウスオーナーがマンションに住んでたらイケてないですよね。レーシックの先生がメガネかけているのと同じで。リンタさんも一緒だと思うんですが、僕絶対に一人暮らしできない(笑)。

林田:僕もシェアハウスを経験してから一度も一人暮らしに戻っていないですね。今は結婚したので、今はシェアハウス住んでませんけど。

片倉:僕の場合、子どもが生まれたらリバ邸の住人たちに育ててもらう気がしています。

今回、「シェアハウスともだち」と「暮らすホテル」という初のコラボを実現したリバ邸とシェアハウスひだまり。前編・後編にわたり、協業の内容・背景やシェアハウスの考え方、これからの目標などについてインタビューを行いました。今後の展開からも目が離せません。皆さんも一度シェアハウスを体験してみては。

 

片倉 廉

1995年生まれ24歳。株式会社リバ邸代表取締役。有限会社スーパー片倉代表取締役。世界一周、No.1ホスト、Girl’s Barの経営/倒産。そして、祖父母が経営する会社を事業継承。3度目の起業として連続起業家の家入一真さんからリバ邸を引き継ぎ株式会社リバ邸を創業。
オンラインサロン「クズサロン」創業→売却 / クズBAR / リアルDASH村「あの村」/ リバ邸住人限定のコワーキングスペース&ホステル「With B」/ 不動産投資/ 居酒屋りばてぃ〜/ リバ邸住人によるクラウドファンディング累計調達額2200万円など基本的に居場所という名の「機会」をつくる仕事をしています。ヤドカリのように住処を転々としています。だいたいお酒を飲んでいて数々の失敗をしております。最近の趣味は、神社で浄化されることと、insyuです。

 

林田 直大

87年生まれ、熊本出身。熊本⇄福岡⇄東京⇄埼玉⇄横浜⇄鎌倉・湘南⇄大阪の7エリアでコミュニティ型シェアハウス「シェアハウスひだまり」を運営しています。現在、福岡⇄熊本の二拠点生活。全国各地にシェアハウスコミュニティを広げるべく活動中。